抱擁と、その先のあらし
抱擁は、不思議な曲だ。
アルバムの9曲目でアタマでも終わりでもない真ん中らへん。音数も多くはないミディアムのフュージョンで、すごいキャッチーかと言うとそうでもないし、真ん中にラップのブレイクは入るけど全体としては平板な作り。私個人は大好きだからいつものプレイリストにも入れてるけど、定義として考えるとなんていうか…ちょっと〝置きにいっている〟ような曲だ。
だからドームでも気持ちいい歌唱に包まれながらも、割とサラッと流れてしまった。そういう曲だった。でも、円盤で観たら全然違ったとんでもなかった。
まず、潤くんの歌い出しが本当に情熱的で。これぞライブ!音の当て方に爆上がりしてしまう。
そこからセンターに集まっていた各人がサイドへと拡がって行くのだが、ここ歩いて移動するおおのさんが、まぁ~!まぁ~~~カッコよくて。
なんだろう…37歲の人なの確実に。( ´・∀・`)←こっちじゃないの。わかります?(笑) ちょっとムッとしたようにも見えるお顔にゆったりとした歩き方、サテンのシャツ。ちなみに色も素晴らしかった、アースカラーが似合うと日々言ってるけど真紅じゃない茶系を帯びた「くすんだ」赤なのが最高。わたし別に色気フェチじゃないし、普段おおのさんにもそっちのアンテナあまり立たないんだけど、この色気なに嵌ったらまじで危ないヤバい。ものの1~2秒の映像に釘付けになってしまう。
前奏が終わってからのAメロのソロパートもステップを踏みながら、珍しく呼吸が乱れ気味で、それを整えながら歌ってるという…ちょっとCDではお耳にかかれない感じのボーカルにM O N Z E T S U ! なんだなんなんだこれは。あれ、ちょっと待って。てか私「生歌でもCD完全再現」なおおのさんが大好きなはずだったのでは!?待て待て待てバリバリの生歌で、CDと異なる色味のボーカルでも全然へーきじゃん。「乱れた息も素敵!」とか言ってキャーキャー観てるじゃんアタシw こんなおおのさんがいるなんて。むしろなんにも気になんない!いや相当イカレてる。
総じてなんだけどこの曲、山の二人の大人げがエグいほど凄い。二人だけ〝シャツイン〟してるからか。関係ないか、いやよくわからんけど!
翔くん。誤解を恐れずに言うが、下から見上げるアングルが、ちょっとオジサンみたいだった。でもそれがすごくカッコいいの!自分が何にこんな過剰反応してるのかよくわかんないんだけど(笑) 歌いながらの余裕のかまし方。あの余裕にオバサン身体ごとダイブしたい。明らかにキラキラのアイドルコンサートとは違う、照明や衣装のせいもあるけど、ちょっと「ディナーショー」みたいな世界。逆に〝現実的な夢〟に思えてくる…ヤバいクラクラする…アラフィフ目前の私には響きまくって仕方ない。
少し前から感覚として思ってた。嵐は私達以上に自身の「年齢」を確実に意識してる。「やがて出来なくなること」をシビアに想定に入れ、その上で蓄積を次のステージへ活かそうとしてるって。なんとなくモヤモヤと形にならない思いだったけど、この抱擁のパフォーマンスを観てハッキリと、具体的なものとして、私の眼に映った気がする。
そんなの思い込み以外の何物でもないし、なんの根拠もないことで我ながら寒い(笑)でも、ダンスは程よい緩さを伴いながら、それでいて力強いコーラスワーク。特に嬉しかったのは生歌採用の効果で、いつものボーカルバランスがいい意味で崩れて、でもその事で熱量が上がってるということ。下を歌う松本くんの声がハッキリ聴こえる。潤担さん泣いて喜んだろうなっての思うだけで嬉しいし、何より「歌割りコーラス割りフェチ」の私にも大収穫なのだ。
この歌いきる嵐の姿に、キャリア頼みのぬるい姿勢は一切感じられないむしろ攻め感しかない。この人達の「常に現在位置から未来を模索する」スタンスがやっぱり大好きだし、それを見ることでなんでか分からないけど、自分の身の回りにも小さな風ぐらい起こせそうな気になって勇気が湧いてくる。本当に、幾度となくそういうことがあった。
大人っぽい世界を歌ったものはこれまでにもあったけど、今回の抱擁、本当に〝違って見えた〟というか、夜明け前、私には見るべき景色がまだまだ待っていると投げかけられてる気がして。勘違いでもなんでもいい、とても感動した。
目下 「一日イチ抱擁」 何度も観てるw その先のあらしが楽しみで仕方ない。