存在もいつかは溶けてく

独断的気ままに綴る、あらしさんの話

SMAPは、もう追ってなかったのにですよ。

いまから21年前のことである。何気なくつけたTVドラマに彼が出ていた。青春ドラマの中の彼は、勉学についていけなくなり追いつめられた挙句クスリに手を出してしまう医大生、という役どころで(オイシイ)、決して上手くはなかったが、若者らしい一生懸命さと真っすぐな瞳が心に残った。樋口くん。それが私と中居さんの出逢い。入口。

 

今回の解散発表を受け、改めて自分の中でSMAPが熱かったのはいつなのかと確かめたら、95年の春から2001年頃まで。ちなみに私の年齢は中居氏木村氏より学年で2コ上である。ファンだった期間はあまり長くないが中身は結構濃かったと振り返る(笑)この当時中居さんに限っては一週間どの曜日にもレギュラーがあり、毎日テレビまたはラジオで顔を見たり声を聴くことができた。そのため本当の意味で「寝ても覚めても」だった。それら全てをチェックし、楽しませてもらった。それでもプライベートが忙しくなれば徐々にフェードアウトしていくものだ、やがて音源も買わなくなって、最後にコンサートに行ったのは2005年の国立…だったかな(妊娠8ヶ月だった) でも確かこれは人に誘ってもらって出かけたんだった、この頃はすっかり離れていたと思う。

 

世界にひとつだけの花はあまり好きではないし、シングル50曲メドレー観ても後半の方はとんと分からない、そんな駄目ファンである。それでも「解散」する日が来るなんて、まさか来るなんて、という衝撃にまだダメージ食らってる。動揺で自家用車をこすっちゃうくらいだ、シャレになんない。たまたま今お盆休み期間なのだが、余計な事考えたくないから早く休暇明けないかな、これなら仕事のほうがまだマシだ。

 

モヤモヤが収まらないので文章にまとめている。何が一番ショックって。「5人でいるところ、歌っているところが単純にもう見られない」こと、1月以降既にそうだったけど、こんな結末を迎えたことで、存在自体がタブーみたいになっちゃった。私は習慣的にラジオをよく聴くが、今後仮にSMAPの曲がかかっても、その度に今回味わった残念な気持ちが去来するんだ。「昔ファンだったのよ♡」と遠い目で思い出話に花咲かすのも、後ろめたくなるようなこの気持ち。時間が経てばもう少し穏やかになれるのかもしれないが、少なくとも今は、なんでこんなことになっちゃったのって、わけわかんない悔しさしかない。キラキラしたもの全て瓦解。そんな気分。

 

 「メンバーの不仲」そんな話ちっとも新しくない。いや、言葉が違う。少なくとも私はSMAPに仲良しこよしは求めてない。いまたまたま嵐にハマっているのでつい引き合いに出してしまうが、嵐とはまったく別ベクトルの力学こそがSMAPの魅力だと思ってるからだ。嵐がひとつの方向を向いて5人横に並ぶタイプの陣形だとすれば、スマのそれは背中合わせだ。全員が別方向を向いているけど背中だけはくっついてる。そういうイメージ。それは決して不仲のひと言で片付けられるものではなくて、最大に盛って言えばそのヒリヒリした感じこそがグループの活力であり推進力なのだ。元々「そういう絆」なんだよ、それが美学なんだよ。だから「しようよ」の ♪ 目を見ればわかるなんて ♪ のツートップで爆アガりできるんだよ。それを不仲と言うのならどうぞご自由にだし、そもそも四半世紀もやってきてそれ相応の絆が無いなんて言わせないよ。どうして全部捨てちゃうのよ。いったい全体どうしちゃったの。木村くんじゃないけど情けなくって泣けてくる。

 

事務所で冷遇され続けてきたとか、仮にソースがあっても私が確かめようのない話はなるべくしたくない。でも仮に、仮に言われている通りだとしても何年かしたら潮目だって変わるかもしれない。不謹慎な意味だけじゃなくて、働く人の環境なんて1年2年でも変わってくる。新入社員ならともかく、平均で40歳超えた人達、ベテランの域だ。「騙し騙し」で凌ぐ、そんな時があったっていい。それは全然「裏切り」じゃない。なんで〝今〟なのか。

 

「終わりです」って言ったらその瞬間から「終わり」が始まる。百歩譲って、もうグループとして出来る事は何もない、終わらせたいっていうのなら、せめて道筋が欲しかった。惜しいけど仕方ないね、長い間ありがとうお疲れさまってこちらが思えるような、そんな見え透いた形ばかりの労いすら許されないこの無様さ、プロセスの酷さをどう形容したらいいんだろう。ああもう!話がアタマに戻って堂々巡り。何がどうしてこうなった!

 

ドMな修羅の道を背負わせ続けるようで本当に申し訳ないけど、それだけ世の中にとって大きな存在だったんだよSMAPって。選ばれた人達だったんだよ。1×5になった時のあの有無を言わせない感じ。簡単に手放して欲しくなかった。這いつくばって、泥水をすすりながらでも続けてほしかった。本当に。勝手だけど。

 

追わなくなって久しいけど、のど自慢とかに出てるのみて、絵面はキツいものがあったけど(苦笑)これは超高齢化社会に生きるアイドルとしての準備なのかな?と(←曲解w)未来のSMAPもそれなりに楽しみだった。還暦になったキム様がドヤ顔でSHAKEのソロ歌って、それがどんなにドヤ顔か見たかったし、唯一無二のゴローダンスがやっぱりあのテイストで「吾郎チャンのダンスは相変わらずだなあ〜でもきっと身体に負担はあまりかからないはず」などと年寄りトーク全開でふふって笑いたかった。そんなオバサンの小さな楽しみも消滅してしまった。すごい喪失感、自分でもびっくりしてる。

 

中居さん大丈夫かな。他メンバーだって同じだけど、あの人本当にSMAPが大好きなんだよ。ていうか、好きを飛び越してもうアイデンティティなんだよ。今や押しも押されぬ司会者だけど、それも全部グループのために磨いたスキルなんだよ。SMAP無くなったらどうなるの。時々アブナイな、と思うくらいの入り方する人だから怖くなるよ。報道は鵜呑みにしないって言ったばかりだけど、愛憎は紙一重とよく言ったもので、愛が深いほど1つのボタンの掛け違いが決定打になることもある。そんなメンバーを見ているのが、中居さんもつらくなっちゃったのかな。主成分責任感で出来ている人だけに、自分を追いつめないでほしいなとこんな地球の片隅で思ってしまう。

 

ここまで散々吐いたけど、多分こんなにこたえているのは、慎吾ちゃんを除く4人が私と同じ40代だからだとも思う。同世代の成功者がこんな目に合ってるのがどうにも耐え難い。これからそれぞれの道で頑張っていくんだろうけど、40過ぎてからの出直し作業って、ホント大変なんだよ?そこに気持ちがいくと、なにかものすごくしんどくなる。と同時に、あの1から5へ変わるマジックが大好きだった私が、5から1ずつになった時に、果たして彼らに興味を持ち続けることができるのか、それも軽く自信がない。怖い。

 

明日は中居さんの44回目の誕生日。どんな気持ちで迎えるのかと思うと…ね。結局ホントのことなんてわかりようがないけど、突き詰めれば人間が集まる場所ならどこにでもあるような問題なんだろう。笑い飛ばせる小さなことであると同時に、拭いされないような疵を遺す。そして、あまりに生々しい。出来ればアイドルで、SMAPでそれを見たくなかった。しかもこんな大々的に。あまりにも希望が無い、つらい。