存在もいつかは溶けてく

独断的気ままに綴る、あらしさんの話

完全なる未完

 

今年も嵐がアルバムを出す。コンサートをやる。

 

ルーティンとはいえ、あんなに忙しい人達が新譜引っ提げてツアーをやるって…驚嘆に値する。たまたまこれを書いている今日、当落が出るが、本当に有難いことですよ、エントリ出来ただけでもね(ゴメンそれは建前だ)笑

 

とにかく。1年の締めに向かって私達に送られるニューアルバムの中身が気になる。するとFCからのお知らせには

 

今回のアルバムでは、初の試みとなる『組曲』に挑戦。様々なジャンルの曲調を10分以上にも及ぶ長尺の中に組み込み、壮大な1曲として構築。全体を通して聴くことで、嵐の過去・現在・そして未来を感じることの出来る、聴き応えたっぷりの楽曲になっています。」

 

とな。「組曲…??な、なんか大げさだね…大丈夫?」って、正直に言うと私は少し身構えてしまっていた。で、聴いた。解禁となった「未完」を。聴いた。

 

アルバム・リード曲「未完」は、今回のアルバムタイトルである“「untitled」”をまさに象徴するかのように、“和”・“DIGITAL”・“クラシック”・“HIPHOP”…といった、今までに嵐が取り組んできたテーマを曲の中に散りばめ、混沌とした中にも1本の筋が通った、疾走感溢れる楽曲となっています。

↑ ちなみに未完の紹介文コレだが、びっくりした、おったまげた。紹介文のまんまだった(笑)

 

イントロから何かもう撃ち抜かれていた。電気が走るようだった。かと思うと明けてガラッと転換。気だるいテンポ感のAメロ、和楽器を散りばめたアレンジのBメロ、そして個人的に大好物なんだが、シャッフルのビートを効かせたサビが現れる。

 

ブリッジにモーツァルト交響曲、そしてラップパートも存分にとジャンルおてんこ盛りなのだ。でも何かシームレスなのが不思議だ。基本的にはA→B→サビという流れを踏んでいるからなのか、メロディが終始ドラマティカルでそこに統一感があるからなのか分からないが〝継ぎ接ぎ感〟がまるで無いのが凄い。あっという間に駆け抜けていく。

 

こんな「コンセプト先行」みたいな曲なのに、全っ然「企画だおれ」になってないの、どうかしてる。未完?どこが?完璧じゃん!の衝撃。一瞬でも「大丈夫か?」などとよぎった自分を恥じた。

 

楽曲の完成度、もちろんメンバー個々の力に依るところも大きい。(わたし大野担だけど笑)もうメインボーカルが誰とかっていう人達じゃない。特に、サクラップ明け大野さんからのフェイク、一瞬重なって降りてくる二宮くんのフェイク(←歌割り間違ってるかもしれませんがこの時点での感想なんでこのままま置いときます、違ってたらゴメン 笑)主旋律は背後に回るようでいて、それでいてハモリが恐ろしく力強い。このそれぞれに存在感を持った〝個体〟が重なって離れていく感じのところで爆上がりする。なんていう気持ち良さなの。

 

さて、ここからは勝手なイメージの話。

 

なぜか「Miles Away」を思い出していた。前は嵐の歌、役割や持ち場が割ときっちり決まっているという印象だった。ファンになった頃は楽曲からも「5人でひとつを作る」という雰囲気を感じ取っていたのに、いつからだろう、ひとりひとりが強烈に自立した存在になって響き合うという感想に変わったのは。実際「未完」、ユニゾンの迫力はもちろんのこと、コーラス一本一本にも芯が通っていて、ハモリなのにメロディみたいな聴こえ方をしている。相葉さん松本さんにもフェイクがあり「え?いま一瞬入ったハミング誰?」というふうに仕掛け的にも誰が何を放ってくるかまったく気が抜けない、そんな展開になっている。仮に5人がバラバラの旋律を背中合わせに歌っていたとしてもそれはもう嵐?みたいな。なにその誰もやったことない感じは。アルバムタイトル「untitled」には題名のない、の他に肩書きのない、という意味もあるようだが、広い意味で「定義されない」というニュアンスにも取れないだろうか。名前が付けられない位の新感覚。新譜への期待値、ちょっとどエライ感じになってきた。

 

今年は年頭に翔くんの「君に捧げるエンブレム」に始まり、春は相葉さんの貴族探偵から夏は忍びの国、10月以降はナラタージュ、ラストレシピの公開が控えている。お芝居のお仕事も大変に絢爛な1年で大満足だったけど、やっぱり歌う嵐が好きだ、相当好きなんだ私は。

 

10分超の組曲?ドンと来いだ。それにしても、こと歌に関してはどんどんハードルが上がるのに、自在に乗りこなし塗り替えて行ってしまうこの鮮やかさを一体どう噛み砕けばいいのか…。

 

眩しくてクラクラする。本当に凄いグループだ。